税務コラム
令和3年度税制改正大綱のポイント
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令和3年度税制改正大綱が、昨年の2020年12月10日に公表されています。
今回の税制改正では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に注力しながら、社会経済活動との両立を図るための施策が多く盛り込まれています。
本コラムでは、法人課税に関する項目(中小法人向け)に焦点を当てています。
ポイント1:中小企業投資促進税制の見直し
中小企業投資促進税制とは中小企業の生産性向上を目的とし、一定の設備投資を行った場合に、特別償却(30%)もしくは税額控除(7%)を適用できる制度です。
同制度は対象業種を増やし(不動産業・物品賃貸業、商店街振興組合等)、2年の期限延長がされます。
ポイント2:商業・サービス業・農林水産業活性化税制の廃止
商業・サービス業等を営み、青色申告書を提出する中小企業者が、2021年の3月31日までに経営改善設備を取得等した場合、取得価額の30%特別償却または7%税額控除を受けることができる措置がありましたが、延長はなく適用期限をもって制度は廃止されます。
先にあげた中小企業投資促進税制に一本化される形となります。
ポイント3:中小企業経営強化税制の延長
「中小企業経営強化税制」とは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づいて新たな設備を取得し、指定された事業にそれを利用すると、100%の即時償却か税額控除(10%)を適用できる制度です。
設備の目的に応じて、A類型・B類型・C類型に対象区分がされていましたが、M&Aの効果を高める設備として「経営資源集約化設備(D類型)」が追加された上で2年の期限延長がされます。
ポイント4:中小企業向け所得拡大促進税制の見直し
所得拡大促進税制は中小企業を対象とした制度で、要件を満たした上で前年度より給与等の支給額を増加させると、増加額の一部を法人税から控除できるものです。
従来は継続雇用者の給与等が「前年比で1.5%以上増加すること」が要件でしたが、判定が「総従業員の給与等の前年比」で良くなります。
これにより実務上の手続きが簡単になり、適用範囲も広がります。
なお、上乗せ措置の2.5%以上の増加割合判定についても同じように雇用者給与等支給額の前年比で行います。また、給与等の支給額から控除する「給与等にあてるため他の者から支払を受ける金額」について、範囲が明らかになり雇用調整助成金等を控除しないことになります。
ポイント5:中小企業の経営資源の集約化に資する税制
経営資源の集約化によって生産性向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業が、計画に基づいてM&Aを行った場合、「設備投資減税」「雇用確保を促す税制」「準備金の積立」を認める制度が創設されます。
まとめ
新型コロナウイルス感染症によって打撃を受けた日本経済ですが、改めてデフレ脱却と経済再生を確かなものにするために様々な施策が盛り込まれています。
今回ご紹介した税制に関する事項は、正式決定したものではないのでご注意ください。
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